良い案件を逃さないための「ノンネームシート」の読み方 ~医業承継を検討する医師が最初に知っておくべきポイント~

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~医業承継を検討する医師が最初に知っておくべきポイント~
近年、クリニックの開業方法として「医業承継」を選ぶ医師が増えています。新規開業と比べて初期投資が抑えられ、患者基盤も引き継げることから、非常に合理的な選択肢です。しかし、医業承継を検討し始めた先生からよく聞くのが次の言葉です。
「案件情報は見ているのですが良い案件なのか判断が難しい。」
その原因の一つとして、「ノンネーム情報の読み方を知らない」ことにあります。仲介会社から紹介される案件の多くは、まずノンネームシートという形で公開されます。これは、売手が特定されないように匿名化された案件概要です。詳細情報は分からない状態ではありますが、実はこのノンネーム情報には案件の質を判断するための重要なヒントが数多く隠されています。
今回は、医業承継を検討する先生が良い案件を逃さないために知っておくべきノンネームシートの読み方を解説します。ちなみに、今回の内容は承継案件を探し始めた初心者向けの内容です。
そもそも「ノンネームシート」とは何か
医業承継では売手のクリニック名や所在地などの詳細情報は簡単には公開されません。理由はシンプルで、患者様やスタッフ、近隣競合クリニックに情報が洩れると、噂による売上低下やスタッフの離脱など、クリニック運営にさまざまな悪影響がでる可能性があるためです。そのため最初の段階では以下のような匿名化された情報のみが公開されます。
- ・エリア(例:消化器内科)
- ・立地(例:駅近)
- ・年間売上(例:年間1億円)
- ・営業利益(例:年間3,000万円)
- ・承継理由(例:後継者不在、高齢による引退)
- ・譲渡形態(例:出資持分あり医療法人譲渡)
- ・譲渡価格(例:8,000万円)
これがノンネームシートの内容です。ただ、これはほんの一例ですので、シートを作成する業者によって記載内容も変わります。この情報を見て興味がある場合、秘密保持契約を締結した上でより詳細な情報が開示されます。
ノンネームシートの読み方① 「売上」よりも重要なのは営業利益
初心者の先生が最も注目しがちなのが売上です。例えば「売上:1億2,000万円」と記載してあるとそれなりに魅力的に見えます。しかし実際に重要なのは「営業利益(医業利益)」です。
例えば次の2つの案件があったとします。
| 案件A | 案件B | |
| 売上 | 1億2,000万円 | 9,000万円 |
| 営業利益 | 1,200万円 | 2,500万円 |
この場合、実際に収益性が高いのは案件Bです。「売上」も大事ですが利益構造を読み解くことが重要です。さらに細かいところを言うと、この「営業利益」が損益計算書上の数字なのか、院長報酬や事業外費用の分を利益に加えた「実質的な営業利益」なのかどうかも気にしなくてはいけないところです。
ノンネームシートの読み方② ノンネームシートだけではエリアの特定は難しい
ノンネームシートに記載するエリアは特定を恐れるためかなり広範囲な書き方をします。例えばクリニック住所が東京都江東区だった場合、シート上で「23区東部」といった記載になることが多いです。この場合、23区東部では足立・葛飾・江戸川・墨田・台東・江東あたりまでを指すこともあります。
ノンネームシートの読み方➂ 「譲渡価格」だけで判断しない
ノンネームシートには、通常「譲渡価格」が記載されています。例えば、「譲渡価格:2,000万円」といった形です。一見、価格的には安く見えるのですが、「安い=良い案件」という訳ではありません。当然安いに越したことはないのです、実際には
- ・設備が古い
- ・患者数が減少
- ・建物契約に制約がある
などの理由で安い場合もあります。逆に価格が高くても良い案件も多く存在します。例えば
- ・高利益
- ・患者数安定
- ・医療モール立地
の案件です。重要なのは「価格」ではなく「収益とのバランス」を見ることです。また、法人譲渡の場合は純資産をかなり貯めてしまっているケースがあり、1件のみの診療所法人なのに単純な譲渡額が数億円になってしまうこともあります。ただ、見かけ上の譲渡額は数億円でも、詳細情報を確認すると数億円のうちのほとんどが現預金であることが多く、買手の実際の手出し額はたいしたことがないこともあります。
まとめ 少しでもきになったらとりあえずすぐに問い合わせ
ノンネームシートの情報だけでは本当にその案件が自分の希望に近いかどうかは分かりにくいです。シートに記載されている情報の中で少しでも気になる部分があればまずは問い合わせをしてみましょう。仲介会社やその担当者によっては、秘密保持契約や売主へのネームクリアをする前に多少のヒントや判断材料を教えてくれるかもしれません。
良い案件はすぐに決まります。自分がよりと思う案件は必ず他の買手も良いと思っています。ただのノンネームシートと思わずに、常にアンテナを張って情報を探し、気になる案件があったら是非早めにお問い合わせすることをお勧めします。